「リュクス」のかおり ヴィンテージ・ビーズバッグとラルティーグ写真展*2

自分の視点があまりにミクロになってしまい、少し困った。ビーズひと粒ひと粒の素材とカッティングが呼び起こすテクスチャは光の強弱になって、バッグと呼ぶには少々頼りないそれの表面をさざめかせる。孔の内側にメタリックな箔をほどこしていない無色透明の、でもわずかにあめ色掛かったビーズが「選択範囲の反転」をかけられたソーダ水の気泡のように、けれどはじけることなく静かに連なっている。それが花となり景色となりアラベスクとなって小さな袋物の表面を被っているはずなのだけれど、印象に残ったのはビーズの粒にぶつかる光ばかり。
ラルティーグのモノクロの中にもいくつかのバッグを見つけることが出来たけれど、こうして目の前で照明を浴びて輝く姿を見ていると、18世紀の昼間よりも21世紀の薄暗闇の中で眺められるに相応しいもののようにすら思えてくる。