ヴォルフガング・ティルマンス展 Freischwimmer*5

衣類はまるでサープラスかA.P.C.、紳士的な光源、ストックされ続けるコンコルド‥静謐とお洒落を期待して訪れることは間違いではないけれど、彼のシャッターはそれだけには留まらなかったということよね、いや、私がよく知らないままに見学して予想外に明るい気分を味わったというだけの話なのだけれど。
ギャラリーはまるでベッドルームの壁のピンナップがそのままスケールアップしたかのよう。質感もあらわな印画紙や上質紙の上でモチーフがとても近くに感じられる、そしてその中のポートレイトの数々。友だちとして撮ったの? それとも仕事で? どちらにせよエイフェックス・ツインの彼もベルンハルト・ウィルヘルムも(モリッシーも!)“面食いの僕がはしゃぐ心で”焼きつけた「ウホ、いい男!」写真。ゲイライフの鮮やかさとドイツの重い陽光がこうして結びつくと、なんて目にやさしいの。
暗室のヴィデオ・インスタレーションはくるくる色を変えるクラブの照明をひたすらに映した作品。過剰にまたたく光やきらびやかさに魅せられるのはやはりゲイ的網膜の特色だと思いつつ、映像にシンクロした音色軽い“チャカポコ”ハウスに包まれながらティルマンスの視線を疑似体験。ギャラリーの壁でじゃなくてね、できればこの照明器具が撮影されたクラブの壁でmixの(でなきゃ私は入れないから)パーティでやっぱり足元はアディダスで、へらへらしながら画像と二重のライトを眺めたいものだわ。