UN MOMENT EUPHORIE/啓祐堂*6ギャラリー

duplo2004-11-23

山下陽子*1展 ―恍惚の瞬間― 銅版画・コラージュ・オブジェ
マリコさんの展示会に置かれていたDMを見てから、必ず行こうと決めていた展覧会。行けて本当に良かった。それら作品群を目にしたとたん、ふいに浮かんできた感想は「美しすぎてずるい」(我ながら思うことが直球だ・笑)、くり返しそう思いながらぐらぐら夢中になって眺めていた。
山下さんが繰るニードルのほそいほそい線描は、見る人の内部にもひっそりと刻まれる*2。片翼に銅版の版型をそのままはめ込んだアンティーク・コンパクトのオブジェ、くすんだブラスの質感も、ちりばめられる空気の藻屑のような微細なガラスの粒も、黒く細いベルベットのリボンも、総てが彼女の手によって甘く暗く透明に組み合わされている。オブジェのたった一つを私は決して飽くことなく眺め続けることができるだろうに、こんなにいちどに見てしまったのでは(それはとても幸せなことではあったのだけれど)背筋のあたりがいつまでも落ち着かない。

*1:http://www1.odn.ne.jp/graveuryy/ The Works of Yoko Yamashita

*2:今まで銅板画は距離を置いて見ていたきらいがありました。(ものを知らない私が思い浮かべる作家の例えで申しわけないけれど)野中ユリでは完璧かつバタくさ過ぎ、鳩山郁子ではテクスチュアを合せ持った線描がしっくりこなかった憶えもあり