薔薇の封印-ヴァンパイア・レクイエム- 宝塚歌劇 月組公演

月組トップ・紫吹淳さんの退団公演。そう、見てきましたよ二度目の宝塚。前に見た同組の通常の公演とは構成が違っていて今回はミュージカル(・ゴシックだって)の一本立て。吸血鬼ものなだけあってプログラムにテキストを寄せてるのは萩尾望都種村季弘、この豪華な直球もヅカならではだよねぇ。とか言いつつミロリさんらと2階席。Sでもやはり2階な分、舞台とは距離があるからお客さんの2/3がマイ・オペラグラス持参。それを手放さ(せ)ないから拍手が出来ない人が多く1階席と妙な温度差が生じているのがちょっと淋しかった。でも役者さんたちがステージをところ狭しと動き回る、モダン・バレエの要素の強いダンスが全体を占めていたということもあり舞台を見渡せるという点は良かったです。で、そうなんです、役者さんのファンというよりは純粋に舞台全体を楽しむ姿勢で見ていたんですが、今回は思いきり紫吹さんの、まるで現実の男らしさを蒸溜させたかのような色気にすっかりもっていかれてしまって、そんな自分に驚きつつもたいへんに惑わされてしまいました。紫吹さんの抜きん出た頭身バランス(顔の小ささ、恐ろしく長い手脚・お尻がぜんぜんない!)も少女まんが男子そのままで、女子の都合通りかつ期待以上に描かれた、2D界においてなじみはあるけれどリアルじゃ絶対ありえないジェンダーが身体を伴って目の前にいるんですもの。だから娘役とどこまで触れ合おうとも潔癖さと表裏一体で決してエロのみには転ばない。見ていて何度も目の前の生き物に信じられなくなりましたよ。ロビーでセーラー服の若いお客さんを見掛けて、私がティーンの頃にヅカと出会っていたなら今よりももっと狂った28才になっていたかもしれないといらぬ心配が頭をよぎったりもしました。まったくこれはどういうことなのか*1。しばらくは夢中の予定です。

*1:今のところ月組しか見ていないしね