10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス

恵比寿ガーデンシネマ(開館10周年なんですね)にて、この週末お友だちと見てきました。率直に、まずスクリーンの10分は意外と長い。監督のラインナップも相まって*1一作品一作品がもっとあっさり綴られていくものだとばかり思っていたのだけれど。その中でいちばんストレートに楽しんだのがヴェンダース「トローナからの12マイル」、アダルトなお菓子であぶないドライヴ、暴走する車の映像が大好きな自分にとってはそれだけでも心が沸き立ちましたが、田舎道の脇にゆっくり稼動する白い風車の並ぶ様子を眺めたとたん、しっかりきまって瞳孔ぎんぎん冷や汗ぎらぎら、という主人公の視界を通した映像に、実は幻覚的表現を追求しがちなヴェンダースならではのこだわりがよく出ていて面白かったです。あと、同時代の撮影であるのか毎度疑ってしまうエリセのコントラストのうくしい画面、古典だわ。彼の長篇作品に流れるかすかな恐怖や不安が、劇中のあの濃い染みに凝縮されているよう。もうすぐ公開が終わってしまうけれどもう一遍の「イデアの森」も見にいかなきゃね。