ピンク・フロイド・バレエ

ローラン・プティのライダース・ジャケット姿でスキンヘッドのポートレイトを見る度に『ファンタスティック・プラネット』の巨人を思い浮かべる。『ピンク・フロイド・バレエ』を見てきました。ピンク・フロイドと聞いてジャケット以外での脳裏に立ち上がってくる映像は乏しく、アントニオーニの『砂丘』くらいなあたいでも楽しめるだろうかという不安は始まってみれば杞憂でした、が今日は先にも書いたように女性美ばかりに目がいってしまう妙なコンディションだったので、男性ダンサーのみのスタートは非常に物足りなく女性ダンサーが登場した「Hey you」からようやく鑑賞態勢に。それにしてもビートに乗せためりはりある動きはあからさまな筋肉至上ふうで、男性ダンサーであるほうが正直振り付けの意図に忠実に見えたのですが、逆に言えば同じ動きを表現する分だけ女性の柔らかさと細やかさが際立つというのはダンスの常識中の常識だけれど、今日はそれがことらさに美しく見えて嬉しくなってしまいました。鑑賞中、ピンク・フロイド云々よりもダンサーの身体性に思いを馳せがちだったのは、あたいが子供の頃の数年間、お稽古程度でもバレエをやっていた経験からなのだろうと思い、同時にバレエを純粋な観客として視界からによる快楽として受け止めるという未経験者の感覚に非常に興味が涌いたり(なぜって休憩時間にロビーにいると、少なくても実際に踊ったことはなさそうなおじさんがたくさん目に入ってきたから)またこの40名余のダンサーの中にピンク・フロイドフリークは存在しているのかしらとか考えていたら、アンコールもあって登場したプティさんはとてもチャーミングで、気付けば随分楽しんでいました。