山下陽子銅版画展 "花と果実の紋章"

高輪・啓祐堂*1ギャラリーにて。二年に一度のお楽しみ。二年前の私には二年後の私の情況についてなど想像のひとかけらも持ち得なかった、というのは置いといて。この世にはまだ、美しいものが生み出される余地があるということを、この方の作品というかたちでもって気付かされる。
ひとつ、ポール・エリュアールの詩に登場する花ジギタリスは、その句にあるように「絹のような手触りの水晶」であると同時に、男性の身体に乳房を実体としてもたらす、アンドロギュヌスへの橋渡し役。と、思考の余剰もにわか、幻想にかぶれがちになりました。