展示会行脚、隣県から。10時台からしばらくは浅草発の区間準急はないことを知る。曳舟草加で乗継いでebagos。ルーマニアスモッキングが美しい民族衣装のスカート、それをあしらったカゴ。林檎のレザーパッチ、カゴ柄のジャカード、ぬめりのある麻生地のワンピース、フルーツコンポートのプリント。都内に戻る車中、オリジナル写真集の色校を見せてもらい盛り上がる。北参道、kさんの合同展示会。私の中で今一番熱いブランドの一つTOWAVASE(もう一つはNiels Peeraer。この二つはもうどうかしているくらい素敵)がラインナップの中にあったのでとても楽しみだった。想像以上にどれもこれも素晴らしい。ヴィンテージふうのひと言では片付けられないディテール、シルクをはじめとする生地の選ばれ方、におい立つフレンチ。興奮に次ぐ興奮。展示会ではいつも、それまでの自分らしい無理なく似合うもの(「持ってそうだね〜」って言われるもの)にするか、冒険を選ぶか、二つの分かれ道を勝手に敷いては逡巡するという愚か者になる。美しい帽子と美しいジュエリーにも参ってしまう。リニューアルしたアクタスに行き、テーブルを見る。H&M新宿店で白タイツ。昭和の赤ちゃんぽさを楽しみたくて買った。
トムフォードの香水、煙草とヴァニラ。70年代の仙台市において一番の高層建築だった住友生命ビル17階のレストランで、青い炎が揺らめくアイスクリームをディナーのあとに掬った記憶が蘇る。私の肌の上では燻香はやや大人しく甘味が立つせい。ブランデーとガスバーナー、ほんのり焦げたメレンゲのエッジ。レストランへは祖父が連れて行ってくれた。祖父はスモーカーだったので、より香りに思い出が重なるのかもしれない。亡くなって久しいけれどもし今の私と会ったらどう思うかな。相変わらず目の中に入れても痛くないと言ってくれるかな。モードの極みのようなフレグランスでこんなにもセンチメンタルになるなんて。