この暑さもあと一ヶ月程度だと思うとやるせない。そんなこと、若い頃は思いもしなかったのに。
北国生まれ雪国育ちだからこそ、二十代の前半に移り住んだ東京の暑さに打たれた衝撃は大きかったのだけれど、その分飽き(慣れ、ではない)が来るのも早かった。
正確には夏に飽きたのではなく、季節に対する嫌悪を持って過ごす態度に退屈したということ。

その時期は終始湧きにじむもので皮膚が濡れていることもレジャーだ。
裸に近い格好のまま気を抜いたところで生命が脅かされる感も薄い。
昨年の酷暑の間も、家では冷房なしで過ごしてしまったことも感覚に拍車をかけた。
こうやって面白がって6、7年は経つけれど、もしかするとそれにもまた飽きる周期が来るのかも知れない。
願わくば元の地点に戻るのではなく倦んだ先に行けますように。

(ああ、でも、これがひとつの、老化、)