duplo2011-03-28

校了も終わり、ようやく「《菫色の文法》展 vol.1 〜ルネ・ヴィヴィアンの寢臺〜」へ。ペンハリガンの小壜からヴァイオレットの薫る小部屋。
ミストレス・ノールさんにご挨拶が叶う。私の宝塚好きを覚えていらっしゃり、戦前の音源を蓄音機にかけてくださった。蓄音機もレコードもノールさんご自身のもの。中国趣味な多色遣いのタッセルの連なりがスピーカーの前に垂れる。竹製の針で聞く、小夜福子葦原邦子の歌声は現代の男役とは異なる幽き響き。(昨年末に観覧の「大正イマジュリィの世界」展(松濤美術館)に展示されていた、橘小夢による大顔絵*1小夜福子を観てからというもの、彼女は気になる存在)
また作品集*2のテキストは活版印刷、ヴィヴィアンと同時代の詩集(「海潮音上田敏)の字詰めにならったというエピソードもお聞きする。
9人の作品世界を眺めるにつれ、菫色が様になるのはいつの世も少女で“おとめ”で、未婚女子かしらね…とエモーショナルバルーンを散らしながらうっとりぼんやり。夢見心地に(夢の内訳がどんなものであれ)させてくれるものというのは、実のところとても限られているけれども、一つの事例を現実として目にすることによろこびがあった。

*1:悪魔的な作風で知られる橘らしく、その発色は僅かに闇を垂らしたよう。木版画のぺったりとしたかんばせもどこか血の通わない、向こう側の存在感を醸し出している。展示では小夜福子の他に、松竹歌劇の水の江瀧子、津阪オリエのものもあった。機会があれば作品群の全てを観てみたい。

*2:http://sumireiromauve.blog71.fc2.com/blog-entry-4.html