朝の9時頃、近所の工務店の人達が来て家中の障子戸をすべて持っていってしまった。先月は犬が来たりうさぎが来たり小さい人が来たり、さらにそれを連れた大人がたいへんに酔っぱらったりで、家の障子の殆どは破れてしまっていたので、張り替えをお願いしていたのだった。これでもう寝室で何度も乳脂肪分入り紅茶飲料をアピールする真木よう子と目が合うこともないし、モルジブの真っ青な海と砂浜に必要以上に思いを馳せることもなくなる。その場しのぎで適当に大きな紙を見繕うとなると、ポスターはとてもありがたい存在だった。しかしむき出しになったガラス窓のせいで、布団をひっ被ってもまだ寒く寝ていられない。だから起きて着替えて近所の喫茶店に行った。カウンターでブレンドを飲んでいると、店主のSさんが稚貝採りのバイトに出られる人を探しているとのことだったので、私は二つ返事で引き受けた。帰り際、漁船でのユニフォームとしてSさんからお古の水色のヤッケをいただいた。