イスラム圏が舞台の作品を見ました。背景のように街のいたるところからカメラのこちら側に向けられる視線。あの人たちは、じっと「見る」んだということを改めて認識させられました。それが彼らを異国の人間たらしめているといっても過言ではない? 自分や、多くの日本人には(少なくても自分の生活範囲内では)そう持ち得ない感覚。他に向ける関心度合いの低さとか、パーソナルに持てる時間の少なさだとか、理由はいろいろあると思うけど、それとは真逆のスタンスが彼らには備わっていて、かつ予想のつかない何かがまぶたを支配しているように感じる。それが分るまでは不躾って言葉を休ませないと。
映画自体はノンフィクションのどちらかというと悲話を基にしたものでしたが、そうでありながらも表現が洗練されていたので、そういう話もありましたね、と落ち着いて観れる感じでした。